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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんがつのだいよんにちよう

三月の第四日曜

宮本 百合子

Lesen Sie 三月の第四日曜 (さんがつのだいよんにちよう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.826 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてなおよく見張ったが、初め黒いかたまりとなって流れて来た旅客の群は次第に疎になって、手拭をコートの衿にかけた丸髷の女連れ二人が大きい信玄袋を持ち合って歩きにくそうに行ってしまうと、それが最後で、ホームに残っているのは貨車のまわりの貨物係りだけになってしまった。

夜どおし駛って来て停った機関車の下から白い蒸汽がシューシュー迸っては、ふきつける風に散らされている。それを伏目で見て唇を軽く噛んでいるサイは、涙組んだ。この次だとすると五時三十四分のかしら。それででも来るのだろうか。もしや自分が日を間違えたかとハッとして、もう一遍ハガキを見た。どう見てもそこには、やっぱり三月二十五日とある。

サイはそのまま待つ気で暫く柱によりかかったが、何だか気が落付かなくて、厚司前垂れをしている貨物係の方へ近づいて行った。

「あの、五時三十四分につく上りもここに待っていていいんでしょうか」

「え?」

「そりゃ常磐線だ」

別の男が軍手の片手で、

「あっちのホームだ、あっち」

「ここを一旦出てね、右の方へあがるんですよ」

「あら! すみません」

周章てて顔を赧くしながらサイは、改札にことわって教えられた段々を駈けあがった。