Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
藤崎さんも少しは飲みました。
いつの代の見物人にも俳優の好き嫌いはありますが、とりわけて昔はこの好き嫌いが烈しかったようで、自分の贔屓俳優は親子兄弟のように可愛がる。自分の嫌いな俳優は仇のように憎がるというわけで、俳優の贔屓争いから飛んでもない喧嘩や仲違いを生じることも屡※(二の字点、1-2-22)ありました。ところで、この藤崎さんは河原崎権十郎が嫌いでした。権十郎は家柄がいゝのと、年が若くて男前がいゝのとで、御殿女中や若い娘達には人気があって「権ちゃん、権ちゃん」と頻りに騒がれていたが、見巧者連のあいだには余り評判がよくなかった。藤崎さんも年の割には眼が肥えているから、どうも権十郎を好かない。いや、好かないのを通り越して、あんな俳優は嫌いだと不断から云っているくらいでした。
その権十郎が今度の狂言では合邦と立場の太平次をするのですから、権ちゃん贔屓は大涎れですが、藤崎さんは少し納まりません。権十郎が舞台へ出るたびに、顔をしかめて舌打をしていましたが、仕舞にはだん/\に夢中になって、口のうちで、「あゝまずいな、まずいな。下手な奴だな。この大根め」