Japanische Klassiker mit Furigana
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さんりょうきょう
三稜鏡
佐左木 俊郎
Lesen Sie 三稜鏡 (さんりょうきょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.347 Zeichen · 42 Bildschirme
私は、手先は極めて不器用であったが、頭脳の透明と敏感と優秀である点に於いては、級中で、私の右に出る者は勿論無かったし、博士も私には遥かに及ばなかったから。
笠松博士はそして大学の講堂では外科医術上のその奇怪な自分の理想を、遠い遠い先の単なる理想のように云っていながら、実はもう、博士は既にその可能を信じきっているのであった。そして、その可能を信じきっているばかりではなく、自分の研究室では、既にその奇怪な実験に取掛っているのであった。それは全く、戦慄せしむる研究であり、奇怪きわまる実験で、研究室は地獄図絵さながらであった。何処から攫って来るのか、博士は何時も生きている人間を拉れて来て、それを実験台に載せるのであったから。
「先生! 先生の研究が、果して可能なものとしても、犠牲が酷過ぎはしませんか?」
私は屡々のことそんな風に云わずにはいられなかった。
「犠牲? 研究のためには何んな犠牲も仕方がないじゃないか? それが悪ければこの研究は抛棄するまでさ!」
呶鳴るような、吐棄てるような、それでいて厳かな響のある声で博士は吼えるのであった。厳格で而も凄味のある声であった。