Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゃんはい
上海
横光 利一
Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme
お杉はそうしてしばらく、あれやこれやと物思いにふけっているうちに、今日は少し早い目から、客を捜しに街へ出ようと思った。それに、一度何より日本の鰤が食べてみたい。
――そうだ、今日はこれから市場へ行こう。――
そう思うと、急にお杉は元気が出た。彼女は顔を洗ってから化粧をし、どこかの良家の女中のような風をして、籠を下げて買物に市場へいった。
市場はもう午前十時に近づいていたが、数町四方に拡がっている三階建の大コンクリートの中は、まだまだひっくり返るような賑いであった。花を売る一角は満開の花で溢れた庭園のようであった。魚を売る一角は、水をかい出した池の底のようなものであった。お杉は鱈や鱒の乾物で詰った壁の中を通りぬけ、卵ばかり積み上った山の間を通り、ひきち切って来たばかりの野菜が、まだ匂いを立てて連っている下をくぐりぬけると、思わずはッとしてそこに立ち停った。
彼女は前方に群がっているスッポンの大槽の傍で、甲谷とお柳の姿を見たのである。お杉は二人から見つけられない前に、こそこそと人の背後へ隠れた。それからのお杉はもう買物どころではなくなった。お杉は下っている蓮根や、砂糖黍の間をすり抜けて、甲谷とお柳の眼から逃げながらも、しかし、どうして自分はこんなに二人から逃げねばならぬのかと考えた。