Japanische Klassiker mit Furigana
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ふしょうのあに
不肖の兄
豊島 与志雄
Lesen Sie 不肖の兄 (ふしょうのあに) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.889 Zeichen · 39 Bildschirme
お互に素面なんだからね。何でもない一寸したことから、そんな風になってしまったんだ。
ところが、その日は大変な目に逢っちゃった。
もう電気がきてたから、五時頃かと思うが照代はまだ髪を結いかけてるところだった。肩に白布をあててその上に梳きかけの髪を乱したまま、入口まで立ってきた。
「まあー、」それから一寸睥む真似をして、「今日を幾日だと思ってるの。」
「幾日……何のことだい、そいつあ。」
「あら、もう忘れたの。そら……稲毛……。」
「ああ、そんなこともあったっけ。なるほど、君は頭がいいよ、物を忘れない。」
「あれだ。」
というのは、実は何かの話のついでに、こんどの日曜に――日曜が笑わせるよ――日曜あたりに、稲毛へ遊びに行こうと、そんなでたらめな約束をしていた。その日曜をもう十日余りも通りこしていた。
室へ通って、彼女が改めて挨拶するのに応じた時、隣りの室に寝てる女の顔が、開いた襖の間から、黒ずんだ畳と赤い布団とその白い襟との中に、仄白く浮出して見えた。
「どうしたんだい。」
「美代ちゃんよ。病気なの。」
見ると、美代子はすやすや眠ってるらしかった。裾の方で、ばあやさんが火鉢で何か煮立てていた。