Japanische Klassiker mit Furigana
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しがつばか
世相・競馬
織田 作之助
Lesen Sie 世相・競馬 (しがつばか) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.112 Zeichen · 39 Bildschirme
これがおれの生活の臭いだと一寸惹かれてみたら、どうだい、この汚れ方は、これがおれの精神の垢だよ、ケッケッケッと自虐的におもしろがったりしている。大阪で一番汚ない男だと、妙に反りかえったりしている。
つまりは、その風体の汚なさと、彼という人間との間に、大したギャップがないのだ。いわば板についた汚なさだ。公園のベンチの上で浮浪者にまじって野宿していても案外似合うのだ。
そんな彼が戎橋を渡って、心斎橋筋を真直ぐ北へ、三ツ寺筋の角まで来ると、そわそわと西へ折れて、すぐ掛りにある「カスタニエン」という喫茶店へはいって行ったから、驚かざるを得ない。「カスタニエン」は名前からしてハイカラだが、店そのものもエキゾチックな建築で、装飾もへんにモダーンだから、まるで彼に相応わしくない。赤暖簾のかかった五銭喫茶店へはいればしっくりと似合う彼が、そんな店へ行くのにはむろん理由がなくてはかなわぬ。女だ。「カスタニエン」の女給の幾子に、彼の表現に従えば「肩入れ」しているのである。
もう十日も通っているのだ。いや、通うというより入りびたっているといった方が適当だろう。店があくのは朝の十一時だが、十時半からもうボックスに収まって、午前一時カンバンになるまでねばっている。