Japanische Klassiker mit Furigana
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せけんし
世間師
小栗 風葉
Lesen Sie 世間師 (せけんし) von 小栗 風葉 (おぐりふうよう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.390 Zeichen · 36 Bildschirme
そして大きな声で、
「おい、皆目が覚めてるなら聞いてくんな。俺あ痛くねえ腹探ぐられてるのも忌々しい、こうなりゃくそやけだ、皆の思うとおりになってみせるから、印に一杯買おうよ。今夜の塩梅じゃどうせ明日は降りだ、夜が明けたら皆で飲んでくんな、いいか。」
「いいともいいとも、早くそう分ってでりゃ文句はねえんだ。」
「明日はそれじゃ、祝って飲むか。」
「俺あ飲むより肖かりてえ。」
「何でもいい、飲めりゃあけっこうよ。」
口々に好なことを言囃した。
翌日はビショビショ秋雨の降る肌寒い日であった。薄暗い二階は畳でも壁でも湿と湿として、その気味の悪さはない。町を売りが呼んで通った。いつもこんな日には、外稼ぎの連中は為事にも出られず、三度の飯を二度にして、転々襤褸布団に裹りながら冴えない顔をしているのだが、今日ばかりはそうでない。朝起懸けから、飲めるぜとばかりで、酒を買いに行く者、肴を拵える者、その中には万年屋の女房も交って、人一倍燥いでいる。元方の銭占屋は気のない顔をして、皆のする様を見ていた。
一同は階下の例の大餉台を取囲んで、十時ごろから飲み始めた。そうして夕方灯の点くころまで飲み続けた。