Japanische Klassiker mit Furigana
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せけんし
世間師
小栗 風葉
Lesen Sie 世間師 (せけんし) von 小栗 風葉 (おぐりふうよう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.390 Zeichen · 36 Bildschirme
二
「ああ穿物は持って上っておくれ。そこへ脱いどいて、失えても家じゃ知らんからね。」
私は言われるままに、土のついた日和下駄を片手に下げながら、グラグラする猿階子を縋るようにして登った。
二
二階は六畳敷ばかりの二間で、仕切を取払った真中の柱に、油壷のブリキでできた五分心のランプが一つ、火屋の燻ったままぼんやり点っている。窓は閉めて、空気の通う所といっては階子の上り口のみであるから、ランプの油煙や、人の匂や、変に生暖い悪臭い蒸れた気がムーッと来る。薄暗い二間には、襤褸布団に裹って十人近くも寝ているようだ。まだ睡つかぬ者は、頭を挙げて新入の私を訝しそうに眺めた。私は勝手が分らぬので、ぼんやり上り口につっ立っていると、すぐ足元に寝ていた男に、
「おいおい。人の頭の上で泥下駄を垂下げてる奴があるかい。あっちの壁ぎわが空いてら。そら、駱駝の背中みたいなあの向う、あそこへ行きねえ。」と険突を食わされた。
駱駝の背中と言ったのは壁ぎわの寝床で、夫婦者と見えて、一枚の布団の中から薄禿の頭と櫛巻の頭とが出ている。私はその横へ行って、そこでもまたぼんやり立っていると、櫛巻の頭がムクムク動いて、