Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
Lesen Sie 中世の文学伝統 (ちゅうせいのぶんがくでんとう) von 風巻 景次郎 (かざまきけいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.977 Zeichen · 230 Bildschirme
(三十四段)
ここに橘を、葉の濃青と花の白さとでとらえている、色彩感覚的な技法を、記憶にとどめられたい。しかもそれはあかるい昼の日なたでもなく、はなやかな夕陽の中においてでもなく、ただ雨の降っている早朝の、冷え冷えとした、ほのあかるさの中の橘をのみたたえているのである。
もちろん橘そのものは『万葉集』以来、王朝の貴人になじみの深いもので、紫宸殿の御庭先にも植えられている右近橘である。題材としての新しみは何もない。にもかかわらず、右の表現が印象的なのは、眼で見た橘の性格をはっきりと感覚していて、それを一ばん強調できる時刻とか、天候とかに配合して見せたからである。つまりは空気と光線との中でものを見た。これが絵画的な効果の源なのであるが、そのことは、ちょうどこの時代から生れてくるのである。
勾欄のもとに青き瓶の大きなる据ゑて、桜のいみじく面白き枝の五尺ばかりなるをいと多くさしたれば、勾欄のもとまでこぼれ咲きたるに、昼つ方、大納言殿の直衣の少しなよらかなるに濃き紫の指貫、白き御衣どもうへに濃き綾のいとあざやかなるを出だして参り給へり……うらうらとのどかなる日の気色いとをかしきに……(二十段)