Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
そして、
「じつはねえお嬢さま、あたくしもちょうどあなた様と同じように、いくら思っても情なくされる殿御がありますのさ」
と、左膳を思いうかべながら、この娘! この娘! この娘なんだ! どうしてくれようとちらと横眼で見ると恋と妬心に先を急ぐ弥生は、同伴のお藤が何者であろうといっさい頓着ないもののように、折りからの吹き降りにほつれ毛を濡らしきって口を結んでいたのだった。
宵から降りだした雨をついて、その夜鈴川の屋敷には、いつものばくちの連中が集まり、更けるまではずんだ声で勝負を争っていたが、それもいつしかこわれて、寄り合っていた悪旗本や御家人くずれの常連が、母屋で、枕を並べて寝についたその寝入りばなを、逆に扱くように降ってわいた斬りこみであった。
その夜は二十人あまりの仲間が鈴川方に泊まって、なかの二人が、左膳とともに離庵に寝ていたのだが、これらは栄三郎が踏みこむと同時に前後して武蔵太郎の犠牲にのぼって、声を聞きつけたおもやの源十郎、仙之助、与吉らほか十四人が雨戸を排して戸外をのぞいた時は、真夜中の雨は庭一面を包み、植えこみをとおして離庵のほうからただならぬ気配が漂ってきた。