Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
三界風雨
三界風雨
笄橋の袂。
春の陽が木の間をとおして、何か高貴な敷物のような、黒と黄のまだらを織り出しているところに。
助太刀や、とめだてはおろか、誰ひとり見る者もなく、栄三郎と左膳、各剣技の奥義を示して、ここを先途と斬りむすんでいるのだった。
刃とやいば――とよりも、むしろそれは、気と気、心と心の張りあい、そして、搏撃であった。
壮観!
早くも夏の匂いのする風が、森をとおしてどこからともなく吹き渡るごとに、立ち会う二人の着物の裾がヒラヒラとなびいて、例の左膳の女物の肌着が草の葉をなでる。
ムッとする土と植物の香。
ひと雨ほしいこのごろの陽気では、ただじっとしていても汗ばむことの多いのに、ここに雌雄を決しようとする両士、渾心の力を刀鋒にこめての気合いだから、いとも容易に動発しないとはいえ、流汗淋漓、栄三郎の素袷の背には、もはや丸く汗のひろがりがにじみ出ている。
チチチ……とまるで生きもののように、二つの刀の先が五、六寸の間隔をおいて、かすかにふるえているのだが、どちらかの刀が少しく出て、チャリーと小さな、けれども鋭いはがねの音を発するが早いか、双方ともに何ものかに驚いたかのごとく、パッと左右に飛びはなれて静止する。