Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「婆さんや、どうしたんだえ? 何か、あの武家さんに叱られでもしたのかえ?」
まあお爺さん、お聞き。世の中にはえらいお人もあるものさね。こういうわけなんだよ――と女房の話すのを聞いて、すっかり感心した喜左衛門、へえい! と眼をあげて改めて侍のうしろ姿を見送ったとたんに。
歩き出していた主従が、一緒にちょっと振り返ったが、先に立つ老武士の顔を見た喜左衛門は、にわかに周章狼狽して、いきなり女房と鍛冶富の手をぐっととると、声を忍ばせて続けざまに、
「大岡様だ! 大岡さま! 大岡さま!……まぎれもねえ大岡様だッ! ヒャアッ婆さん! お前まあ大したお方と口をきいたもんだなあ!」
「えッ! あ、あれが大岡様! お爺さん、お前さんまた担ぐんじゃあないだろうねえ」
「ばかッ! こんな冗談が言えるもんか。はばかりながら公事御用に明るくて江戸でも名代の口きき大家だ。南町のお奉行所は手前の家よりも心得ているんだが、実あ、たった一度、それ、極道長屋の鉄の野郎がお手あてになって、おれが関係に付き添って行ったことがあるだろう? あの時、お白洲でお調べをなすったお顔がまだ眼の底にこびりついてらあ。