Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
お艶がつづける。
「それはわかっております。けれどあたし、自分達の暮しを第二第三にして、そうやってお刀のことに夢中になっていらっしゃるあなたを見ると……」
「嫌気がさす――というのか」
栄三郎の声は、口がかわいてうわずっていた。
「…………」
「おいッ!」
「まあ! なんて声をなさります!」
お艶はたしなめるように言って、すぐに鼻のさきでせせら笑ったが、
「ええ。そうでございます! さようでございますよ」
と、いいきった彼女の声は、叫びに近かった。
そして、つと身体を斜めにいっそうだらしなく崩折れると、口ばやに甲高に、堰を落とすようにしゃべりだした。
「ええ! さようでございます! あなたのようなどちらにもいい子になろうとするお人は、あたしゃ大嫌い! 刀を手に入れたい、あたしともいっしょにいたい――それじゃアまるで両天秤で、どっちか一つがおろそかになるのはきまりきってるじゃアありませんか」
「な、なんだと? どちらにもいい子とはなんだ? いつおれが貴様をおろそかにした?」
「おろそかにしてるじゃありませんか。あたしより刀のほうがお大事なんでございましょう? 刀さえとれれば、あたしなんか野たれ死にをしようとおかまいはございますまい」