Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
二剣にのみ集中しているべきはずなのが、ともすればそれさえ棄てて、いっそくだけて町人にでもなろうか……などという考えを、よしぼんやりにしろ起こすところを見れば、栄三郎かえってお艶に執心の強いものがあるのではなかろうか。
もちろん、ここはそうなくてはならぬところ。世の栄誉順境のすべてを犠牲に、ともに誓い誓われたお艶ではないか。どこにどうしているかは知らぬものの、やはり栄三郎の胸ふかくお艶を思う念の消えぬのはむりもなかった。消えぬどころか、相見ぬ日の重なるにつれて、四六時じゅう栄三郎の心にあるのはお艶のおもかげ態度、口ぶり――、あア、あの時ああいって笑ったッけ、そうそう、またいつぞやあれが軽い熱でふせった折りは……。
と栄三郎、こうして戸外をあるいていても、お艶恋しやの情炎にかりたてられて、さながら画中のよそおいの美男風流べに絵売り、もの思いに深くうなだれて、暗い裏町の小路をトボトボとたどってゆく。
だが! この美男のべに絵売り!
一朝、つるぎを抜いては神変夢想の遣い手、しかも日中しょい歩く絵箱の中に関の孫六の稀作、夜泣きの刀の片割れ陣太刀づくりの坤竜丸を秘して、その艶な眼は、それとなく途上行人のあいだに、同じ陣太刀乾雲丸とその佩刀者を物色しているものとは、誰ひとりとして知る者はなかったろう。