Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「酔ってはいる。が、しかしこの汚濁の世では、せめて酔ってるあいだが花だて」
と奇怪な男、ううい! と酒くさい息を吹いて手の徳利を振った。
指をふりほどこうとあせった源十郎も、虚静を要とし物にふれ動かず――とある擁心流は拳の柔と知るや、容易ならぬ相手とみたものか、小蛇のようにからんでくる指にじっと手を預けたまま、がらりと態度をあらためて、
「いや。さい前からの仔細をごらんになったとあらば、余儀ない。拙者も四の五のいわずに折れますから、まず山分け――金高の半というところでごかんべんねがいたい」
源十郎はふところから五十両入りの栄三郎の財布をとり出した。
すると男は、源十郎の手をゆるめながら、
「だまれッ!」と肩をそびやかして、
「おれはまだ盗人のあたまをはねたことはないぞ! 財布ごとそっくりよこせ!」
「で、この金をどうなさる?」
「知れたこと。所有主へ返すのだ」
源十郎はせせら笑った。
「それは近ごろ奇特なおこころざし――といいたいが、いったい貴公は何者でござるかな?」
「おれか? おれは天下を家とする隠者だ」
「なに、隠者? して、御尊名は?」
「名なぞあるものか。