Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
恋し恋されるこころのあがきだけは、人の世のつねの手綱では御されない。
一眼惚れとでもいうのか、はじめて見た時からずっとひきこんだ恋慕風を栄三郎はどうすることもできなかった。
その思う女に持ちかけられた五十両の才覚である。栄三郎はとび立つ思いで引き受けたものの、さて部屋住みの身にそれだけの工面がつくはずがない。とほうに暮れたあげく、悪いことだが、ふと思いついたのが、兄藤次郎の名で札差しから引き出すことだ。で、さっそく実印を盗みだし、その足で両口屋に用だたせてきたこの五十両。
途中でへんなやつに掠われたがそれもまた、もうひとり変り種があらわれて取り返してくれた――あの一くせある、風格の乞食はいったい何者であろう?
ものを思って歩く道は近い。
お! それにしてもさぞお艶が待ちくたびれているだろうな。
と、顔を上げた栄三郎が急ぎ足になったとき、気がつくともう水茶屋並びで、むこうの、金的に矢の立つ当り矢の貼り行燈の下に、白いお艶の顔が栄三郎に笑いかけている。
栄三郎は、上々吉、できたぞという心で、小判にふくらんだ懐中をたたいて見せた。
「ほんとに、とんでもないことをお願いして、もう来てくださらないかと案じておりましたが、でもお顔を見ただけでどうやら安心しました」