Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
乱れた前から白い膚がこぼれるのも知らずに、弥生はとめどもない熱い涙にひたった。
この時、玄関に当たって人声がした。
「頼もう!」
根岸あけぼのの里、小野塚鉄斎のおもて玄関に、枯れ木のような、恐ろしく痩せて背の高い浪人姿が立っている。
赤茶けた髪を大髻に取り上げて、左眼はうつろにくぼみ、残りの、皮肉に笑っている細い右眼から口尻へ、右の頬に溝のような深い一線の刀痕がめだつ。
たそがれ刻は物の怪が立つという。
その通り魔の一つではないか?――と思われるほど、この侍の身辺にはもうろうと躍る不吉の影がある。
右手をふところに、左手に何やら大きな板みたいな物を抱えこんで奥をのぞいて、
「頼もう――お頼み申す」
と大声だが、夕闇とともに広い邸内に静寂がこめて裏の権現様の森へ急ぐ鳥の声が空々と聞こえるばかり。侍はチッ! と舌打ちをして、腋の下の板を揺り上げた。
道場は大混乱だ。
必ず勝つと信じていた栄三郎が森徹馬と仕合って明らかに自敗をとった。弥生を避けて負けたのだ! 早く母に死別し、自分の手一つで美しい乙女にほころびかけている弥生が、いま花の蕾に悲恋の苦をなめようとしている! こう思うと鉄斎老人、煮え湯をのまされた心地で、栄三郎の意中をかってに見積もってあんな告げ紙を貼り出したことが、今はただ弥生にすまない! という自責