Japanische Klassiker mit Furigana
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ここのつのかぎ
九つの鍵
野村 胡堂
Lesen Sie 九つの鍵 (ここのつのかぎ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.349 Zeichen · 42 Bildschirme
照国の誠一
狩屋三郎は、もう一度門を飛び出して、警官とお医者をつれて来るほかはありません。
照国の誠一
町の噂を聞いて、波野幸子と馬吉の姉弟がお見舞に来てくれたのは、その日の昼近い頃でした。
麻酔剤で眠らされた奉公人たちは、どうやらこうやら眠りからさめて、――でもまッ青な顔をしたまま、まだろくに片づけもしない応接にふたりを通しました。
もっとも、こうひどい打ち壊しの後でなかったら、幸子馬吉姉弟は、この豪壮な応接間に通ることを脅えたかも知れませんが、壊し屋が気がふれたような、悪者共がひどい乱暴を働いた後で、足の踏みどもないありさまの中では、馬吉少年の風態も、そんなに不似合ではありません。
「大変でしたね」
姉の幸子は四方の惨憺たるありさまに眉をひそめました。至って粗末な、名前ばかりの洋服――木綿物の手縫いのワンピース、女学生時代の品らしいこれも木綿の靴下に下駄を突っかけて来た十八娘ですが、白粉も紅も知らぬ顔は、小麦色で健康そうで、純潔さと叡知とそれにかわいらしさが溢れます。
「ひどい事をするね、狩屋さん、たれが一体こんないたずらをしたんだ」
馬吉少年はクリクリした眼を見張りました。