Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

「それで、嘉吉つぁんの嫁さんは、おたっしゃかな」

「はあ、おかげさまで」

と、いったが、年とった母が、嫁さんと呼ばれたことで思わず笑顔になった。帰ればまずそれを母にいおうと思った。ちょうど上りバスが警笛とともに近づいてきた。上り客でないことをしめすように、急いで標識からはなれたが、バスは止まった。茶店の軒下に立って、おりる客の顔を、見るともなく見ていた。バスはすし詰めの満員で、おりてくるのは若い男ばかりだった。ほとんどみな、ここでおりるかと思うばかり、つぎからつぎへと出口にあらわれる若い顔をみているうち、ふと思いだしたのは、今日この町の公会堂で徴兵検査がとりおこなわれることだった。ああ、それかと思いながら、若さにみちた個々の顔につぎからつぎへと目をうつしていた。

「あっ、小石先生!」

思わずとびあがるほどの大声だった。ほとんど同時に先生も叫んだ。さそわれるような大声で、

「あらっ、仁太さん!」

そして、あとからあとからとつづいて出てくる顔に向かって、

「あら あら あら みんないるの、まあ」

仁太につづいて磯吉、竹一、正、吉次と、かつての岬の少年たちはみんなそろった。