Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

船乗りの妻としてすごした八年間には、腹をたてて教職をひいたあの時とはくらべることもできないほど、世の中はいっそうはげしく変わっていた。日華事変がおこり、日独伊防共協定がむすばれ、国民精神総動員という名でおこなわれた運動は、寝言にも国の政治に口を出してはならぬことを感じさせた。戦争だけを見つめ、戦争だけを信じ、身も心も戦争の中へ投げこめと教えた。そしてそのように従わされた。不平や不満は腹の底へかくして、そしらぬ顔をしていないかぎり、世渡りはできなかった。そんななかで大石先生は三人の子の母となっていた。長男の大吉、二男の並木、末っ子の八津。すっかり世の常の母親になっている証拠に、ねえさんとよばれた。だがよく見ると、目のかがやきの奥に、ただのねえさんでないものがかくれている。

「小父さん、もしよろしかったら、お茶でものみませんか」

停留所のわきの茶店をさしていった。この年よりから、父親をかぎだそうとしたのである。しかし年よりは、がんこに首をふり、

「いや、もうすぐにバスがきまっそ。ここでよろしいわい」

年よりのほうもなんとなく、あらたまった態度を見せていた。