Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

にこっと笑った年よりはまた奥歯のないもとの表情にもどり、

「そうよなあ、十八か、九かな。二人とも大望をもってな。あわよくば外国船に乗りこんで、メリケンへ渡ろうというんじゃ。シアトルにでも行ったとき、海にとびこんで泳ぎ渡ろうという算段よ」

「まあ。でも、昔はよくあったそうですね」

「あったとも。メリケンで一もうけしてというんじゃが、じつをいうと、徴兵がいやでなあ。――今ならこれじゃ」

また手をうしろにまわして笑った。

「とうとう目的成就しなかったわけですか?」

「そういうわけじゃ。もっともそのころは、船に乗っとりさえしたら兵隊には行かいでもすんだからな。そのうち二人とも船乗りがすきになってな。同じ船乗りなら免状もちになろうというんで、これでも勉強したもんじゃ。学校へ行っとらんもんで、わしらは五年がかりでやっと乙一の運転手になったあ。嘉吉つぁんのほうが、一年はよう試験に通ってな、わしも、なにくそと思うて、あくる年にとったのに――」

そのとき朋輩は難船して行方不明となり、ついによろこんでもらえなかったというのだ。父の妻としての母からきくのとはちがった父の姿、涙どころか微笑さえ浮かんで想像される若い日の父の姿、語る人の親愛感からであろうか、父ははつらつとした好もしい青年であったと知った。