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Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

その父が徴兵をきらったということは初耳である。それについて一言もしない母は、父からそれをきかなかったのであろうか。それとも例の猿になっていたのか、「嫁さん」と呼ばれたこととともに母にきいてみようと考えながら、話はつきなかった。

「そして小父さん、いつごろまで船に乗っておいでたん?」

「十年ほどまえよ。ようやっとこんまい船の船長になってな。――息子は学校へやって苦労させずに船乗りにしてやろうと思うたら、船乗りはいやじゃときやがる。商業学校にやって、銀行の支店に出とったけんど、とられて、死んだ」

「とられてって、戦争ですか?」

「そういな」

「まあ」

「ノモハンさあ。これは、そいつのせがれので」

ランドセルは年よりの手で強くふられ、中のボール紙がかさこそと音をたてた。

――おたがいに、せがれをもつのは心配の種ですね。といおうとしてのみこんだ。

バスでは客がたてこんでいて並ぶことはできなかった。うしろの正面に席をとった大石先生は、じっと目をつぶっていた。思いだすのは、いまのさっき別れた教え子のうしろ姿である。けもののように素っ裸にされて検査官の前に立つ若者たち。兵隊墓に白木の墓標がふえるばかりのこのごろ、若者たちはそれを、じじやばばの墓よりも関心をもってはならない。