Japanische Klassiker mit Furigana
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にひゃくとおか
二百十日
Lesen Sie 二百十日 (にひゃくとおか) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.466 Zeichen · 60 Bildschirme
「君が滑べると、二人共落ちてしまうぜ」
「だから大丈夫だよ。今のは傘の持ちようがわるかったんだ」
「君、薄の根へ足をかけて持ち応えていたまえ。――あんまり前の方で蹈ん張ると、崖が崩れて、足が滑べるよ」
「よし、大丈夫。さあ上がった」
「足を踏ん張ったかい。どうも今度もあぶないようだな」
「おい」
「何だい」
「君は僕が力がないと思って、大に心配するがね」
「うん」
「僕だって一人前の人間だよ」
「無論さ」
「無論なら安心して、僕に信頼したらよかろう。からだは小さいが、朋友を一人谷底から救い出すぐらいの事は出来るつもりだ」
「じゃ上がるよ。そらっ……」
「そらっ……もう少しだ」
豆で一面に腫れ上がった両足を、うんと薄の根に踏ん張った碌さんは、素肌を二百十日の雨に曝したまま、海老のように腰を曲げて、一生懸命に、傘の柄にかじりついている。麦藁帽子を手拭で縛りつけた頭の下から、真赤にいきんだ顔が、八分通り阿蘇卸ろしに吹きつけられて、喰い締めた反っ歯の上にはよなが容赦なく降ってくる。
毛繻子張り八間の蝙蝠の柄には、幸い太い瘤だらけの頑丈な自然木が、付けてあるから、折れる気遣はまずあるまい。