Japanische Klassiker mit Furigana
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にひゃくとおか
二百十日
Lesen Sie 二百十日 (にひゃくとおか) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.466 Zeichen · 60 Bildschirme
一
ぶらりと両手を垂げたまま、圭さんがどこからか帰って来る。
「どこへ行ったね」
「ちょっと、町を歩行いて来た」
「何か観るものがあるかい」
「寺が一軒あった」
「それから」
「銀杏の樹が一本、門前にあった」
「それから」
「銀杏の樹から本堂まで、一丁半ばかり、石が敷き詰めてあった。非常に細長い寺だった」
「這入って見たかい」
「やめて来た」
「そのほかに何もないかね」
「別段何もない。いったい、寺と云うものは大概の村にはあるね、君」
「そうさ、人間の死ぬ所には必ずあるはずじゃないか」
「なるほどそうだね」と圭さん、首を捻る。圭さんは時々妙な事に感心する。しばらくして、捻ねった首を真直にして、圭さんがこう云った。
「それから鍛冶屋の前で、馬の沓を替えるところを見て来たが実に巧みなものだね」
「どうも寺だけにしては、ちと、時間が長過ぎると思った。馬の沓がそんなに珍しいかい」
「珍らしくなくっても、見たのさ。君、あれに使う道具が幾通りあると思う」
「幾通りあるかな」
「あてて見たまえ」
「あてなくっても好いから教えるさ」
「何でも七つばかりある」
「そんなにあるかい。何と何だい」