Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
この際……」
「……………」
「アノ……アノ……創作家の江馬兆策じゃないのですか」
「……………」
「どうも貴女はあの男と心安くなさり過ぎると思っておりましたが……」
笠支配人の態度と口調が、だんだん積極的になって来るに連れて、呉羽はイヨイヨ長椅子の中へ頽折れ込んで行った。白手柄の大きな丸髷と、長い髱と、雪のように青白い襟筋をガックリとうなだれて、見るも哀れな位萎れ込んでいるのを見下した支配人はイヨイヨ勢付いて、ここまでノシかかるように云って来ると、又もや呉羽は突然に真白い顔を上げた。眉をキリキリと釣上げてハネ返すように云った。
「ケ……穢らわしいわよッ……ア……アンナ奴……」
「……でも……でも……」
笠支配人は度を失った。憤激の余り肩で呼吸をしている呉羽の見幕に辛うじて対抗しながら、真似をするように息を切らした。
「でも……でも……貴女は……いつも御主人の眼を忍んで……あの劇作家と……」
「そ……それはあの凡クラの劇作家に、次の芝居の筋書を教えるためなのよ。次の芝居の筋書の秘密がドンナに大切なものか……ぐらいの事は、貴方だって御存じの筈じゃありませんか。……ダ……誰があんなニキビ野郎と……」