Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
もっとも大正十年頃の事ですから、昔ほどの勢力はなかったのでしょう。そこいらの田舎銀行や、大百姓の用心棒ぐらいの仕事しかなかったのでしょう。その上に、その若親分の久蔵というのも、昔とは違った帝大出の法学士で、弁護士の免状まで持っていたインテリだったそうですが、乾分に押立てられてイヤイヤながら渡世人の座布団に坐り、新婚早々の若い、美しい奥さんと二人で、街道筋を見渡していたものですが、この若親分の久蔵というのが、十手捕縄を預っていた雷九郎親分の血を引いたものでしょう。親分生活は嫌いながらにあの辺切っての睨み上手の、捕物上手で、云ってみれば田舎のシャロック・ホルムズといったような名探偵肌の人だったのでしょう。すこし手口の込んだ泥棒でも這入ると、警察より先に久蔵親分の処へ知らせて来るというのです。流れ渡りの泥棒なんぞは、みんな等々力親分の縄張りを避けて通った。ウッカリ久蔵親分の眼の届く処で仁義の通らぬ仕事なんかすると、警察よりも先に手を廻されて半殺しの目に会わされるという評判で、生蕃小僧にとっては、この久蔵親分の眼がイの一番に怖くて怖くてたまらなかったのだそうです。