Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごかいのまど

五階の窓

平林 初之輔

Lesen Sie 五階の窓 (ごかいのまど) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.840 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

9

「ふん。よく分からんが、聞いてみればそのようだね」

と、署長は大きくうなずいた。

「それに、頭部はだいぶひどくやられていますが四肢の関節は完全ですし、そのほかのどの部分にも強い衝撃を受けた痕はありません。衣類なども大して汚れてもいないのです。もし五階から墜落したのなら、手足の関節などはめちゃめちゃになっていたはずだとわたしは思いますがどうでしょう」

署長も主任も、いまでは完全に冬木刑事の明快な論理に征服されたもののごとく、ただ黙って傾聴しているよりほかはなかった。

9

「それでも、わたしはまだもしやと思って、いましがた問題の社長室へ行って、窓枠のところを虫眼鏡でよく検査してきました。もしあの窓から突き落としたのだとすると、どんなに不意に突き飛ばしたところで、二尺五寸も高さのある枠の外へ、あの太った被害者の身体がゴム鞠みたいに跳んで出るわけはありません。必ず、窓枠が邪魔になります。そこで、少なくも衣類が強く窓枠に摩擦するはずです。ところで、あの窓枠はペンキが少しはげかかって、ところどころ材木の生地が出てざらざらしていますから、強く摩擦すれば被害者の着ていたメルトン(羅紗の一種)の服地から細かい毛がかすりとられて、窓枠に付着するに相違ありません。