Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.384 Zeichen · 42 Bildschirme
「駄目だ。俺は、もう駄目だから、君らは帰ってくれ。ホラ、みろ、上の土がだんだん崩れてくるじゃないか」
「カムポスさん、私のことから、なんてすまないことに」
とだんだん浸ってゆくカムポスに絶望を覚えるほど、いっそうロイスは切なく、絶え入るように泣きはじめた。
「じゃ、カムポス」と、折竹がおろおろ声で言うと、彼は、
「一番違い――動物富籖のあれがやはりこれだったよ」
それからロイスに向い、「御機嫌よう、気を付けてね」と言った。
それから、身を切られる思いで帰路についていた二人の耳へ、カムポスが高らかにいう声が聴えてきた。「シラノ・ド・ベルジュラック」の一節を朗誦している。シラノが、末期にうち明けなかった恋を告白しているところ……。
「面白くもない私の生涯に、過ぎゆく女性の衣摺れの音を聴いたのも、まったくあなたのお蔭」
ああと、ロイスが何事かをさとり、抱いていた三上の感触がスウッと飛び去ったような気がした。カムポスが私に恋し、私のために死んでくれた……。朗誦の声は、なおも続く。
「哲学者たり、理学者たり、詩人、剣客、音楽家、また、天界の旅行者たり。恋愛の殉教者――カムポス・モンテシノスここに眠る」