Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
いよいよ私は悪魔の尿溜のなかにでたのだ。
夜だった。空には、濛気の濃い層をとおして赭色にみえる月が、すばらしく、大きな暈をつけてどんよりとかかっている。私はいまだに、これほど超自然な不思議な光輝をみたことはない。中天にぼやっとした散光をにじませ、その光はあっても地上はまっ暗なのだ。
すると、この森閑とした死の境域へ、どこか遠くでしている咆哮が聴えてきた。それが、近くもならず遠くもならず、じつにもの悲しげにいつまでも続いている。と、それから間もなくのこと、ようやく、暁ちかい光がはじまろうとするところ、ふいに私の目のまえにまっ黒なものが現われた。ぎょっとして、それを見つめながら、じりじりと後退っていった。
マヌエラ、なんだと思うね。カークほどの身の丈で、お父さんより肥っていて、片手を頭にのせてずしりずしりと歩いてくる。時には、両肢をかがめその長い手で、地上を掃きながら疾風のようにはしる――ゴリラだ。私は、それと分るとぞっと寒気がし、顎ががくがくとなり、膝がくずれそうになった。私は懸命に洞の中へ飛びこみ、最前の穴らしい窪みをみつけて隠れた。が、その洞穴は、浅くゆき詰っている。