Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
なお悪いことに、そのゴリラが穴のまえで蹲ったのだ。やがて、夜が明けたとき、視線が打衝った。私は、あの傀偉な手の一撃でつぶされただろうか。
マヌエラ、私は暫くしてから嗤いはじめたのだよ。じぶんながら、なんという迂闊ものだろうと思った。なんのために、そのゴリラが森の墓場へきたか忘れていたのだ。ゴリラはさいしょ、私をみたとき低く唸ったが、ただ見るだけで、なんの手だしもしない。
七尺あまり、頭はほとんど白髪でよほどの齢らしい。つまり、老衰で森の墓場へきたのだと、私はやっとそう思った。野獣がここへくるときは闘争心は失せ、なにより彼らを狂暴にする恐怖心を感じぬらしい。そして食物もとらず餓えながら、静かに死の道にむかってゆくのだ。マヌエラ、ここで私は冥路の友を得たのだ。
Soko――と、やがてそのゴリラをそっと呼んでみた。この“Soko”というのはコンゴの土語で、むしろ彼らにたいする愛称だ。それから、Wakhe, Wakhe――と、檻のゴリラへする呼声をいっても、その老獣はふり向きもしなかった。
ただ遠くで、家族らしい悲しげな咆哮が聴えると――ほとんどそれが、四昼夜もひっきりなく続いたのだが――そのときは惹かれたようにちょっと耳をたて、しかもそれも、ただ所作だけでなんの表情にもならない。