Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

なア、俺らが来てもビクともなさらねえなんて……、フロー、お立派な方だなア」

折竹は、その間ものんびりと紫煙にまかれている。代理殺人者の銃口を扉のそとに控えていても、暗黒街の閻魔夫婦を目のまえに見ていても、不義不正や圧迫には一分の揺ぎもしない彼には、骨というものがある。静かだ、ウエスト・エンド通りの雑踏が蜂のうなりのように聴えてくる都心紐育下町のなかにも、こうした閑寂地がある。がいよいよルチアノも手がつけられなくなって、

「マア、これをご縁にちょいちょい伺ううちにゃ、先生だって情にからむだろう。なにも、殴り込みばかりが能じゃねえ。誠心誠意という、こんな手もありまさア」

「おいおい、ギャングの情にからまれるのか」

「そう仰言られちゃ、身も蓋もねえが」

とルチアノは苦笑しながら立ちあがる。が、なんと思ったか、ちょっと目を据えて、

「時に、あっしらしくもねえ妙なことを伺いやすが……最近、先生んところへ匿名の手紙が来やしませんか」

「来たよ。しかし、地獄耳というか、よく知ってるね」

「ご注意しますが、絶対あんなものには係わらねえほうが、いい。ずいぶんコマゴマしたことで、無駄な殺生をしたり、ケチな強請をするために大変な筋書を書く――というような奴が、ゴロゴロしていますから。