Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

封筒らしい。さては、奴め打ち開ける気持だな……と、思ったとき向うの気が変ったらしく、今度は、その封筒がスルスルっと引っ込められてゆく。

それに、折竹の全運命が掛っていようとは、神ならぬ身の知るよしもなかったのだ。

探検隊は、古くからある捕鯨港のサレムで勢揃いをし、五月十九日の朝乗船「発見」号には、前檣たかく出航旗がひるがえる。いよいよ、極北の神秘「冥路の国」へ。

ニュー・ファウンドランドを過ぎラブラドルール沖にかかると、もう水の色もちがってくる。それまでの藍色がだんだんに褪せ、一日増しに伸びてゆく昼の長さとは正反対に、温度はじりじりと下ってゆく。すると、グリーンランドの西海岸をみるデヴィス海峡にかかった時、「発見」号の全員がすくみ上るようなことが起った。

水平線が、とつぜんムクムクと起伏をはじめたかと思うと、みるみる、無数の流氷が「発見」号をおそってくる。船は、あちこちに転針してやっと遁れたが、じつに前門の虎去れば後門の狼のたとえか……極鯨吹きあげる潮柱のむこうに、ポツリと帆影のようなものを認めたのだ。まもなく、水夫長が案じ顔にやってきて、

「どうもね、あの横帆船にゃ見覚えがあるんですがね」