Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
犬は、こういう酷寒の地では雪中にもぐって、眠る――と、いうことが重大な使嗾となった。その夜、これまで解けなかった「冥路の国」の怪が、彼にやっと分ったような気がしたのだ。
「よくマア俺も、此処までやってきたものだ」
と、折竹が感じ入ったように、呟くのも道理。
まず、無名の雪嶺を名づけた、P1峰を越えたのが始め、火箭のように、細片の降りそそぐ氷河口の危難。峰は三十六、七、氷河は無数。まったく、この三月間の艱苦は名状し難いものだった。しかし、ここで不思議に思われることは、この極地にくるとおのぶサンの態度が、それまでのネチネチさを振り落してしまったようなことだ。
「あの女は、寒気に充分な抵抗力がある。なにしろ、馴鹿がいるあたりの北カナダへいってさえ、肉襦袢姿で平気でいれる奴だ。しかし、どうも近ごろ様子が変っている」
さっきもおのぶサンは、なにやら意味ありげなことを呟いた。折竹には分らぬ異常なことを知っているということは、その一事でも察せられなければならぬ。しかし瞬後には、彼はもうおのぶサンのことを考えていない。
「いずれ、フラム号の連中も俺を追ってくるだろう。