Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
空には、獅子座が頭をさげて西の空へ下りかけ、やがて東からのぼる東亜の太陽の前駆、白鳥、ケフェウス、カシオペアが薄明のなかをのぼってくる。それを……折竹はさし招くような意気だった。
ところが、その二日後の夜。オーマンの都ムスカットで行われた王子ご新婚式に不思議な出来事が起ったのだ。
稜たる岩山のしたの町ムスカットのその夜は、イラン、エジプトご新婚の賓客をそっくりひき受け、ヨーロッパ社交界に鳴る綺やかな連中が、ふうふう暑熱にうだりながらオーマン湾を渡ってきたのだ。まず客人は、英皇太后メアリー陛下の御弟エースローン公、ドイツはモスクワ駐大使シュレンバーグ伯、またエジプトの女王ナズリ陛下、イタリアは皇甥スポレート侯爵。こうした方々が、白壁の小家が櫛比するこの狭衝の町、また、イラクのバグダットと肩をならべる世界一暑い首府の――ムスカットを見ちがえるように飾ってしまったのである。
その海岸の広場にある王宮といっても、簡易な三層の漆喰建であるが、ともあれ、オーマンを統べる大元首のいますところ。花火、水晶の燭架眼眩いなかに、今宵の客人がいと静かに参上する。
「もう、おいではこれだけであろう」