Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
雨ちかし、温霧谷はその名のとおり大釜がたぎるように、濃霧に充ち、一寸の展望もない。
「この氷河の氷には、石灰分が多い。だから、猛雨があれば氷塔に浸みこんで、あの邪魔ものを、ボロボロにしちまうと思うよ。つまり、氷の石灰分が水に溶けるんだから、あの頑固なやつが軽石みたいになっちまうんだ。で、それが流れるから、平らになる。そこを、僕らが渡ろうという魂胆だ」
そういう、折竹の推測がついに適中した。すごい雨のあった翌朝、一掃された氷塔をみて、三人はわっと歓呼の声をあげたのだ。濃霧の暗黒の底から盛りあがる氷の咆哮を聴きながら、温霧谷の化物氷河を渡ったのである。しかしそこで、空中索道をつくるのに一日ほど費やし、それまで黒い骨とばかりみえていた「大地軸孔」の口元へ、立ったのが翌朝のこと。
いよいよ、此処――三人は感極まったような面持だ。のぞくと、まっ黒な中からひやりとした風がのぼってくる。地底の国、アジア、アフリカ両大陸にまたがる想像界の大盲谷が、いま三人によって白日下に曝されようとする。やがて、垂らした綱が二百尋ほどになったとき、底に達したらしく、かすかな手応え……。