Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

「僕は陥穽をにらんで四昼夜も頑張っていました。すると、五日目の昼になってとうとうやって来ました。それが、なん歳ぐらいのものか藪の密生で分りませんが、とにかく、ぴしぴし枝を折りながら樹洞のほうへやってくる。やがて、えらい音がしてどっと土煙があがりました。しめた、生きたゴリラなら十万ドルもんだと、さっと土人と一緒に勢いよく飛びだすと……どうでしょう、たしかに落ちたはずのゴリラの真正面に向きあってしまったのです。しかし、すぐ相手は四足で逃げ出しましたがね」

「ほほ、陥穽に落ちたのがそのゴリラでないとすると……ドドかね」

「そうなんです、しかし、覗きこんだときはさすが驚きましたよ」

「そうだろう。君みたいな……、コンゴ野獣の親戚でも、これには驚くだろう。しかし、最初のうちは抵抗しただろうが」

「それがしないのです。じつに、ひどい苺果痘にかかっていたのです。僕は、なにより可愛想になってきて、さっそく皮膚に水銀膏をなすってやると、大分落ちついてきました。もう以前のように幹へからだを擦ったり、泥を手につけて掻きむしるようなことはしません。ただ、目をほそめて僕の手にある、水銀膏の罐をものほしそうにながめているのです。