Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
しかし、五人のものは、なんの危害もうけなかった。かえって、怪人バイエルタールは上々のご機嫌だった。
「ここで、白人諸君に会おうとはまったく夢のようだ。どうだ、“Shushah”という珍しいものを飲らんかね」
といって、怪人は椰子の殻にどろりとしたものを注いで、
「ねえ君らも、子供の時に猿酒の話を聴いたろう。それが、ここへきてみると、立派に『猿酒』といえるものがあるんだよ。これは黒猩々がこっそり作っている。野葡萄や、無花果の類を樹洞で醗酵させ、それを飲るもんだからああいう浮かれ野郎になっちまうんだ、はっはっはっはっは、それでここを『猿酒郷』と名付けることにしたんだがね」
そういって尻ごみをする一同にはカッサバ澱粉のパンをすすめ、じぶんは「猿酒」を呷り“Dagga”という、インド大麻に似た麻酔性の葉を煙草代りに喫っている。その両方の酔いがもう大分まわったらしく、バイエルタールはだんだん懆しくなってきた。半白の髪の様子ではもう五十にちかいだろう。ただ剛気そうな目が、恍りとした快酔中にもぎらついている。
やがて、問われるままに、ここへ来た話をしはじめた。
「俺はもと、ドイツ領東アフリカ駐屯軍の一曹長だったが、一九一六年の三月にタンガンイカ湖で敗れた。