Japanische Klassiker mit Furigana
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme
二
「お待ち下さい、拙者は奉行役を差措いて勝手なことなどは致しません」
「是が勝手なことでないか、是が」
二
二人の声が高くなると直ぐ、廊下の向うからそっと、娘の幸枝が様子を見に来た。……市郎兵衛が此処へ移るのと一緒に来て、父の世話をしたり、加役の人々に茶の接待などをする役を受持っている、ところがこのごろではそれよりも、父と至とのあいだに入って、うまく諍いを納める役の方が忙しかった。
「貴方は御存じないからそう仰有るのです、実地に当ってお調べ下さい、……十七番堤防は流を受ける処です、此処を厳重に固め過ぎると流は倍の力で十八番の曲りへ当るため、逆にこの根を掘られてしまいます、……これは工事頭から念を押して来たので、拙者が立会いのうえ実地に調べ、その結果として当然の訂正をしたまでのことです」
「そ、それならばなぜ、その、一応その趣を儂に報告せんのか、それがつまり」
「拙者は作事奉行加役として貴方に選ばれてお役を勤めているのです、工事の小さい部分はもう少し拙者どもに、お任せ下さるのが当然ではありませんか」
「儂はなにも信用せぬとは云わん」
「ではそうむやみに呶鳴るのは止して頂きたい」