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Japanische Klassiker mit Furigana

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しぐれがさ

人情武士道

山本 周五郎

Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほう、呶鳴ってはいかんか、儂は呶鳴ることさえできんのか、では斯うやってここへ手でもついて」

いよいよ臍と臍とがむきだしになって来た、もうこうなるとあとは子供の喧嘩のようなものである、肝心の図面などは抛りだして、むきになって詰らぬ口論を始めた。……そこへ幸枝が足早にやって来た。

「父上さま大変でございます」

「ええやかましい」

市郎兵衛は耳にもかけず、なおも勢いたって喚き続ける、幸枝はそのあいだへ割って入りながら、

「父上さま、頬白です、頬白が籠から逃げだしました」

「……な、なんだと」

「お庭の柿に留っていますから早くいらしって」

市郎兵衛は小鳥道楽で、殊に近頃は頬白に夢中になっている、その大切な手飼いの鳥が逃げたというのだから慌てた。

「またそのほう、なにか……ええ何処だ」

「お庭でございます」

幸枝はすばやく、父を導いて其処を走り去って行った。やったなあという次郎太の含み笑いを聞いて、至がほっと額の汗を拭きながら向き直ろうとする、そこへ再び幸枝が足早に戻って来た。

「西郡さま、唯今はあい済みませぬ」

「いやそれは、拙者のほうこそ」

「父は御存じのような気性ですから、いつも貴方さまに向うとあの通りですの、でも本当はお頼り申しているのですけれど」