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Japanische Klassiker mit Furigana

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しぐれがさ

人情武士道

山本 周五郎

Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

八

「……斬って呉れ」次郎太は泣きながら呻いた、「ひと思いに、己を斬って呉れ、己は、己はこんな人間なんだ、己はもう生きてはいられないんだ」

「斬っていいか、次郎太」

「…………」

「斬っていいか、本当に斬るぞ」

至は奪い取った大剣を振上げた。えい、という鋭い掛声と共に、白刃は次郎太の背へ打下ろされた。その刹那、次郎太の体はぴくりと痙攣り、荒い呼吸がぴたっと止まった。……至は大剣を相手の側へ投出した。

「是でいい、貴様の命は至が貰った、生れ更って来るんだ次郎太、かねと子供は己が預るぞ」

「……うう、うう」

次郎太は再び低く呻きだした。

「貴様は人並み優れた才分があるじゃないか、今までのようにこせこせしなくとも、正面から堂々とやって充分出世のできる男だぞ。……やり直してこい、小さな不面目なんかなんだ、人間の値打は些細な過ちなどで傷つきはしない、取返す方法はいくらでもあるんだ、かねと子供のことを忘れるなよ、わかったか」

そう云って、至は静かにそこを立去った。

八

濃くなった夕闇のなかに、まだ次郎太の啜り泣きを聞くような気持で、まっすぐに城下へ戻った至は、その足で灰島市郎兵衛の屋敷を訪れた。