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Japanische Klassiker mit Furigana

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にんげんレコード

人間レコード

夢野 久作

Lesen Sie 人間レコード (にんげんレコード) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.936 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

「人間レコード……」

少年ボーイはさながら生きた幽霊でも見るかのように、暗い逆光線をゲッソリと浮出させた老人の寝顔を見下した。

「ウン。今見てろ。このレコードを回転させて見せるから……」

青年ボーイの手が敏活に動き出した。老人の胸を掻き開いて、肋骨の並んだ乳の上に無色透明の液二筒と茶褐色の液一筒と都合三筒ほど、慣れた手付で注射をした。そのまま窓を閉めて扉の外へ出ると帽子を冠り直して、少年ボーイが捧げる水瓶とコップのお盆を受取って、ツカツカと展望車に歩み入った。ズッと向うの籐椅子のクッションに埋まっている、派手な姿した白人のお婆さんの前に近付いた。

「ヘイ。お待遠さま」

「アリガト」

そう云った口紅、頬紅の嫌味たらしいお婆さんが青年ボーイの手に何枚かの銀貨を渡すと、彼は帽子を脱いで意気地なくペコペコした。

「マア……キレイ……お月様……」

老婦人が指す方を見ると又も一曲りした列車の後尾に、醜い黄疸色をした巨大な三日月が沈みかかっていた。

青年ボーイはニッコリと笑って首肯いた。今一度帽子を脱いで展望車から出て行った。

一等車のボーイ室では少年ボーイが、山のように積上げた乗客の手荷物を片付けていた。