Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんソーセージ
人間腸詰
夢野 久作
Lesen Sie 人間腸詰 (にんげんソーセージ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.648 Zeichen · 43 Bildschirme
出ていたんですね。不意討ちにパッとアカリが点いたのを見ると、太陽が二十も三十も一時に出て来たようで今度こそホントウに腰を抜かすところでしたよ。何しろそこいら中反射鏡ダラケの部屋に、天井一パイの花電燈が点いたんですからね。
世の中には立派な部屋が在れば在るもんだと思いましたねえ。この節なら銀座へ行けあアレ位の部屋がザラに在るんですから格別驚かなかったかも知れませんがね。何の事はない、竜宮みてえな金ピカずくめの戸棚や、椅子、テーブル、花束や花輪で埋まった部屋なんで、ムンムンする香水の匂いで息が詰りそうな中にタッタ一人突立っている見窄らしいあっしの姿が、向うの壁一パイに篏め込んで在る大鏡に映ったのを見た時にゃ、思わずポケットへ手を当てましたよ。コンナ立派な部屋でチイ嬢を抱いて寝た日にゃ、イクラ取られるかわからないと思いましてね。そこまで来てもまだ瘡毒気が残っていたんですから大したもんでゲス。
「アハハハ。お金のこと心配してはイケマセン……ミスタ・ハルキチ……アハハハハ……」
だしぬけに大きな笑い声がしたのでビックリして振向きますと、あっしの背後の大きな蘭の葉陰から四十年輩の夜会服の紳士が、歩み出して来ました。