Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
Lesen Sie 人間豹 (にんげんひょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.989 Zeichen · 311 Bildschirme
かなわぬまでも闘った。世にも恐るべき、野獣と野獣の戦いである。
黄色い豹、黒い恩田、白い弘子、今、神谷の眼の前には、この三つの生きものが、世にも恐ろしい巴を描いて、掴み合い、ぶっつかり合い、飛び上がり、打ち倒れ、ころげまわり、狂い躍るのであった。彼はこの眼まぐるしい色彩の交錯に、頭もしびれ、眼もくらんで、もう恐怖を感じる力さえ失っていた。
噛み合う赤い口、おお、彼らは噛み合ったのだ。人間の恩田までが、耳まで裂けた口をひらいて、白い歯をむき出して、噛み合ったのだ。そして、燐の焔が燃えるかと疑われる、爛々たる四つの眼が薄闇に飛び違い、すさまじい咆哮が部屋の四壁をゆるがした。
だが、恩田はとうてい本物の猛獣の敵ではなかった。徐々に徐々に、彼は部屋の隅へとおしつめられて行った。猛獣の鋭い爪は、恩田の洋服を掻き破って、彼の肩口へしっかりと喰い入っていた。恩田は両腕に精一杯の力をこめて、豹の顎を支えていたが、その力も衰えはじめた。猛獣の血に飢えた牙は、ジリリジリリと、相手の喉笛へ迫って行く。
もう一分間そのままにしておいたなら、怪人恩田はこの世のものではなかったに違いない。