Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
Lesen Sie 人間豹 (にんげんひょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.989 Zeichen · 311 Bildschirme
「どこだ、どこだ」
「あ、あすこだ。あすこに掴み合っている」
ドカドカと、大勢の足音が近づいてきた。奈落に降りていた若者たちが、さいぜんの叫び声を聞いて駈けつけたのだ。
いかな猛獣とて、七人もの若者を向こうに廻して戦う力はない。危ないと見て取った恩田は、搦みついていた二人の手をつき放して、パッと飛びのくと、いきなり道具置場の中へ逃げこみ、そこに立てかけてあった書き割の表面を、パリパリと駈け上がって、たちまち天井の闇の中に姿を消してしまった。
「逃げたぞ、出入口を用心しろ」
「誰か警察へ電話をかけろ」
一人が電話室へ走って行く、残る人々は梯子を持ち出して、幾枚も重ねて立てかけてある書き割の頂上へ登っていったが、どこへ隠れてしまったのか、もうそこには物の影もなかった。またしても、舞台裏のさがしものがはじまった。道具類のあいだを、右往左往する人々、直立の鉄梯子を登って行って、天井から下界を物色するもの。奇怪な豹狩りは、いつ果つべしとも見えなかった。
「おい、みんなどこかへいなくなったじゃねえか」
さいぜんの鳶の者と若い道具方の二人が、元の場所に取り残されていた。