Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
にんぎょ
人魚
火野 葦平
Lesen Sie 人魚 (にんぎょ) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.457 Zeichen · 15 Bildschirme
わたしもやがてあきらめるこころが出てきて、身のほどしらぬ自分の見栄坊をわらう余裕も生じ、ただ人魚のうつくしさのみをたのしむゆとりができました。
夕焼雲がしだいに茜のいろをおとしてゆき、海上には夜をまねくたそがれのけはいがながれはじめました。すると、これまではただたのしげにうたったり泳いだりしていました人魚の様子がにわかに変りました。うっとりしたまなざしが消えて、急になにかをさがすようなせわしげな眼になりました。これまでのような波にたわむれている風情がなくなり、人魚は用事を思いだしたように、水中をあちらこちらと眼を八方にくばって泳ぎはじめました。わたしにはその変化の理由がわかりませんでしたので、ひょっとしたらわたしのいる気配に感づいて、そのあやしいものを探しているのではないかとひやりとしました。姿のみえない確信はもっているのですが、むこうも化生のものですから、どんな秘法をこころえているかもわからないし、わたしはすこし遠ざかっていつも逃げられるように警戒はおこたらなかったのです。
ところがそういうわたしの解釈は杞憂にすぎなかったことがすぐにわかりました。