Japanische Klassiker mit Furigana
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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
Lesen Sie 仇討姉妹笠 (かたきうちきょうだいがさ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.178 Zeichen · 159 Bildschirme
その龕燈の燈が近づいて来る。ではあの老人と少年と、女猿廻しとがその燈と共に、近付いて来るものと解さなければならない。
でもにわかにその龕燈の燈は、大藪の辺りから横に逸れ、やがて大藪の陰へかくれ、ふたたび姿を現わさなかった。
そこで又この境地はひっそりとなり、鋭い切先の一所を、ギラギラ月光に光らせた抜身を、いまだにしっかり握っている主税が、干鱈のように仆れているばかりであった。
時がだんだんに経って行った。
やがて、主税は気絶から覚めた。
誰か自分を呼んでいるようである。
そうして、自分の後脳の下に、暖かい柔らかい枕があった。
主税はぼんやり眼を開けて見た。
自分の顔のすぐの真上に、自分の顔へ蔽いかぶさるように、星のような眼と、高い鼻と、薄くはあるが大型の口と、そういう道具の女の顔が、周囲を黒の楕円形で仕切って、浮いているのが見て取られた。
お高祖頭巾で顔を包んだ、浪速あやめの顔であった。
(あやめがどうしてこんな所に?)
気力は恢復してはいなかったが、意識は返っていた主税はこう思って、口に出してそれを云おうとした。
でも言葉は出せなかった。それ程に衰弱しているのであった。