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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゃぼてんのはな

仙人掌の花

山本 禾太郎

Lesen Sie 仙人掌の花 (しゃぼてんのはな) von 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.282 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

見も知らぬ人の手によって、書かれた自分の名前、それが何か、宿命とか、因縁とか、云うような決定的なものが、この見も知らぬ手紙の主との間に、結ばれているのではあるまいか、と云うような、魅力を持った不安が感ぜられるのであった。左の肩に、正しく貼られた切手には、ハッキリとした「山代局」の消印があった。

(三)

そのあくる日、閑枝は、一人で山中へ行って見た。黒谷橋から断魚渓に沿うて、蟋蟀橋へ上った。岩を咬む急潭が、ところどころでは、淵となって静かな渦を巻いていた。そこには背の黒い小さな川魚が、静かに遊んでいた。岩の上に佇んでじっと覗きこんでいると、またしても閑枝の心に死と云うことが考えられる。が、その死と云うひろがりの、空虚ななかに、未知の手紙の男の姿がはっきりと、幻覚となって現れるのであった。

帰りの電車では、山代線で、動橋行きを待合す間に、閑枝は山代の町を歩いて見た。駅の前通りを、ほんの二丁程も歩くと、そこの右側に「山代郵便局」があった。無名の手紙は、いつもこの局の消印で来る。片山津に郵便局があるのに、何故ここまで投函にくるのであろうか、そんな軽い疑念に、たださえ遅い足のはこびが、一層緩くなったとき、「山代郵便局」