Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のびじたく

伸び支度

島崎 藤村

Lesen Sie 伸び支度 (のびじたく) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.120 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

夕方には多勢のちいさな子供の声にまじって例の光子さんの甲高い声も家の外に響いたが、袖子はそれを寝ながら聞いていた。庭の若草の芽も一晩のうちに伸びるような暖かい春の宵ながらに悲しい思いは、ちょうどそのままのように袖子の小さな胸をなやましくした。

翌日から袖子はお初に教えられたとおりにして、例のように学校へ出掛けようとした。その年の三月に受け損なったらまた一年待たねばならないような、大事な受験の準備が彼女を待っていた。その時、お初は自分が女になった時のことを言い出して、

「私は十七の時でしたよ。そんなに自分が遅かったものですからね。もっと早くあなたに話してあげると好かった。そのくせ私は話そう話そうと思いながら、まだ袖子さんには早かろうと思って、今まで言わずにあったんですよ……つい、自分が遅かったものですからね……学校の体操やなんかは、その間、休んだ方がいいんですよ。」

こんな話を袖子にして聞かせた。

不安やら、心配やら、思い出したばかりでもきまりのわるく、顔の紅くなるような思いで、袖子は学校への道を辿った。この急激な変化――それを知ってしまえば、心配もなにもなく、ありふれたことだというこの変化を、何の故であるのか、何の為であるのか、それを袖子は知りたかった。