Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
二十
‘O! Moments big as years.’とか、‘I die, I faint, I fail.’とか、とりとめない文句を私は喚いた。声は風に千切られて飛んで行った。明るさが次第に、野に丘に海に加わって行く。何か起るに違いない。生活の残渣や夾雑物を掃出して呉れる何かが起るに違いないという欣ばしい予感に、私の心は膨れていた。
一時間もそうしていたろうか。
やがて眼下の世界が一瞬にして相貌を変じた。色無き世界が忽ちにして、溢れるばかりの色彩に輝き出した。此処からは見えない、東の巌鼻の向うから陽が出たのだ。何という魔術だろう! 今迄の灰色の世界は、今や、濡れ光るサフラン色、硫黄色、薔薇色、丁子色、朱色、土耳古玉色、オレンジ色、群青、菫色――凡て、繻子の光沢を帯びた・其等の・目も眩む色彩に染上げられた。金の花粉を漂わせた朝の空、森、岩、崖、芝地、椰子樹の下の村、紅いココア殻の山等の美しさ。
一瞬の奇蹟を眼下に見ながら、私は、今こそ、私の中なる夜が遠く遁逃し去るのを快く感じていた。
昂然として、私は家に戻った。
二十
十二月三日の朝、スティヴンスンは何時もの通り三時間ばかり、「ウィア・オヴ・ハーミストン」