Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
六
白人官吏が自ら納税を怠っている時でも、彼だけはちゃんと納めたし、部下の犯罪があれば何時でも大人しく裁判所長の召喚に応じた。にも拘わらず、何時の間にか、彼は現政府の一大敵国と見做され、恐れられ、憚られ、憎まれるようになっていた。彼が秘かに弾薬を集めているなどと政府に密告する者も出て来た。王の改選を要求する島民の声が政府を脅していたことは事実だが、マターファ自身は一度も、まだ、そんな要求をしたことはない。彼は敬虔なクリスチャンであった。独身で、今は六十歳に近いが、二十年来、「主のこの世に生き給いし如く」生きようと誓って(婦人に関することに就いて言っているのだ)、それを実行して来た、と、自ら言っていた。夜毎、島の各地方から来た語り手を灯の下に集めて円座を作らせ、彼等から、古い伝説や古譚詩の類を聞くのが、彼の唯一つの楽しみであった。
六
一八九一年九月×日
近頃島中に怪しい噂が行われている。「ヴァイシンガノの河水が紅く染まった。」「アピア湾で捕れた怪魚の腹に不吉な文字が書かれていた。」「頭の無い蜥蜴が酋長会議の壁を走った。」「夜毎、アポリマ水道の上空で、雲の中から物凄い喊声が聞える。